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医療ICTの現状と課題、導入するメリットについて

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近年、少子高齢化に伴う医療需要の増加、医療従事者の人材不足の深刻化により、医療業界においてもICT化の必要性が高まっています。そのため、すでに電子カルテシステムの普及や診療報酬明細書の電子化、地域の医療機関のネットワーク化などが推進されてきました。この記事では、医療ICTにおける課題やメリット、具体例について解説いたします。

医療業界におけるICT化とは

ICT化とは情報通信技術(ICT)を活用して、業務の効率化やサービスの質の向上、コスト削減などを実現することを指します。医療ICTによって医療分野が抱えている諸問題を解決できると言われています。

医療業界におけるICT化の現状とハードル


ICT化は業務効率化や医療の質の向上に大きく貢献するものですが、医療業界ではあまり普及が進んでいないのが現状です。厚生労働省により令和2年度に実施された医療施設調査によると、電子カルテの導入率は一般病院で57.2%、一般診療所で49.9%となっており半数程度にとどまっています。ここでは、医療業界でなかなかICT化が進まない理由や医療ICT特有の課題について説明します。

コストがかかる

ITシステムの導入にはそれなりのコストがかかるため、予算不足のためIT化を進められないケースもよくあります。ITシステムを導入する前では費用対効果が分かりにくいため、ほかの部分に予算を回すほうが優先されがちです。

現場スタッフから理解が得にくい

医療の現場は、医療専門職の人材が集まって形成されています。医療に対して、高度な知識と技能を持つ専門職である一方で、パソコンの操作には不慣れなことも多いです。特に、電子カルテなどの普及が遅れている中小規模の病院・診療所における看護師の年齢層は、大規模病院に比べて高い傾向にあり、パソコン操作に抵抗感を持つ人の割合も高くなります。そのため、誰でも簡単に使用できるシステムの導入や使用方法に関する説明・サポートが必要不可欠です。

複数部門での合意形成が難しい

主に大病院に見られる医療ICTの課題点として、複数部門での合意形成が難しいことがあげられます。部門ごとで異なるシステムを使っている場合、老朽化したシステムの刷新や、新しいITシステムの導入をするにあたって、各部門の合意が得られない場合があります。

医療業界のICT化で期待されるメリット

医療業界のICT化によって具体的にどのようなメリットがあるのか説明します。

業務効率化の実現

ICT化により業務効率化が実現できるため、医師やスタッフの業務負担軽減や人件費削減につながります。紙ベースの院内文書で発生していたファイリングや保管、データ入力、転記といった手作業を減らすことができます。そして、システムの連携により、情報の一元化をすることができ、一つのパソコンでほとんどの業務をできるようになり効率化を実現できます。

各部署での連携が容易になる

ICT化は部署間での連携を容易にします。電子カルテとレセコンを連携することで、診療報酬の計算をする手間が省けます。また、予約管理システムと問診票、電子カルテを連携させることで、事務作業の手間が省けます。このようにICT化により、各部署での連携が容易になります。この時、新しく導入するITシステムは、電子カルテと対応しているかを確認し、慎重にシステムを選定する必要があります。

最適な医療が提供できる

医療のICT化が進めば、過去の受診歴や治療内容、使用薬剤の種類などの情報を一元化でき、複数の医療機関で共有されるため最適な医療の提供が可能になります。

医療業界のICT化具体例

医療業界におけるICT化の具体例には以下のようなものがあります。

電子カルテ

電子カルテとは、紙媒体であった従来のカルテを電子データとして一括で編集・管理しデータベースに記録するシステムのことです。紙カルテのように保管場所を必要とせず、データの閲覧や検索などを迅速に行うことができ、医療情報の共有が瞬時にできます。また、サーバーに保存されているデータは、ほかの医療機関とも情報共有できるため、患者さまのニーズに合わせた医療を提供することにもつながります。

RPA

RPA(Robotic Process Automation)とはソフトウェアにより、事務作業のような決められた操作を自動化する技術のことを言います。電子カルテへの入力、検査レポートの出力、夜間診療データの出力、情報共有や勤怠管理といった作業を自動化でき、単純ミスの発生や確認作業が発生しないため、業務の効率化・負担軽減につながります。

医療情報システム

医療情報システムとは医療に関する各種データを電子データとしてまとめたもので、前述した電子カルテも医療情報システムに含まれています。その他に、レセプト作成用コンピュータ(レセコン)やオーダーリングシステムなどがあります。これらの医療情報システムは複数の医療機関で患者さまの情報を共有できるため、それぞれの機関を受診された際の薬の処方状況などを共有でき投薬ミスを防ぐことが可能になります。

まとめ

医療業界は様々な要因により、他業界と比べて業務のICT化が比較的遅れている状況にあります。少子高齢化により医療需要が増加する一方で、医療従事者の人材不足が深刻化しておりICT化による業務効率化が必要不可欠です。そのため、ICT導入の現状と課題を理解し、ITシステムを適切に選定・運用していくことが重要になっていくと考えられます。

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